Technology

セキソーの考える【くるまの音】

私たちセキソーでは、これまで音響工学に基づく解析・設計、材料開発、信頼性評価を、部品ごとに実施し、部品単位での機能・性能の向上を実施してきました。

それらを発展・融合させ、実際のクルマで、どこから、どんな音が、どこのお客様(運転者、搭乗者、沿道住民)に、どのように伝わり、どのように感じるか、音源情報・伝達経路とその寄与、音色までも含めた「トータルの制音技術」を確立し、お客様にとって不快な音を良い音色にするような全体最適のマネジメントを行います。

この活動を、クルマの音づくりの全体最適を図るシステム=SSMS(Sekiso Sound Management System)と名付け、お客様のための開発と提案を目指しています。

 

音質改善技術

気密性がないため、管内圧力脈動を外壁から逃がし、気柱共鳴を減衰させる機能を持つ省スペースで安価な吸気騒音対策アイテムです。レゾネータ使用時のような反共振による騒音成分がなく、加速時に滑らかな音色の車内音を得ることが出来きます。

吸気口騒音の音質改善例  

解析技術

セキソーでは、主に、LAMPSというダクト騒音シミュレーションソフトウェアを使っています。このソフトは、イギリスのLoughborough大学で開発されたソフトです。このソフトウェアを使ってポーラスダクトの騒音シミュレーションができるように、韓国の先端科学技術院(KAIST)とLoughborough大学と共同で研究を進めてきました。その結果、他のソフトウェアに比べても十分に精度よくポーラスダクトのシミュレーションが可能になったと自負しています。

吸気系のシステムでは、エンジン性能を効率よく引き出すために、システム内の空気の流れがスムーズになるような形状が求められています。セキソーでは、主にScryuTetraという流体予測シミュレーションソフトウェアを使っています。これを駆使することにより、実際に試作品を作る前に最適な形状を検討することができ、またこれまでの実験とシミュレーション結果を合わせて検討することにより、さらに精度良くポーラスダクト内の空気の流れを解析することができるようになり、製品の開発・設計に役立てています。

セキソーの主力製品の一つである樹脂部品の成形を行なう場合、型の中に流れ込む樹脂の挙動を良く知る必要があります。それは、樹脂の流れが効率よく行なわれるような成形型が、生産性、コスト低減の観点からも強く求められているからです。セキソーでは、モールドフローというソフトウェアを応用し、これらの型設計の際には、もっともよい樹脂の流れ方を解析した上で、樹脂の流し込み口(ポート)位置や最適型締め圧力を検討して実際の生産に応用しています。

吸音アイテムの開発において、シミュレーション技術により、試作レスでそのアイテムの性能を予測することが出来ます。例えば、3次元FEM(Finite Element Method)の音響解析ソフト(ACTRAN)を用いて、図のような吸音構造体の性能を材料単体性能だけでなく、背面の空間を利用した吸音構造物として解析し、音の可視化によりそのメカニズムを解明しました。これらの成果は論文として自動車技術会などの外部機関にて発表しています。(他にも、吸音素材の開発において、吸音材のBiotパラメータから性能予測計算をし、より高性能な材料を目指して開発しています。)

評価技術

セキソーでは、シャシダイナモを備えた実車計測可能な半無響室を備えています。この設備を用いることにより、いつでも決められた走行試験をして、車外、車内騒音の測定を実施することが可能です。また音源探査技術による音の可視化や、心理音響解析による官能評価も長年行なってきており、単なる騒音レベルの低減だけでなく、快適な音色づくりを考慮した部品の開発に役立てています。これらの研究成果は、各学会などで発表をして、高い評価を得ています。

環境にやさしい技術

ファイバーモールド成形 アンチラストカバーという、輸出車用のブレーキパッドの防錆カバーをセキソーでは古新聞やダンボールといった紙を再生して製造しています。これらの製品は、環境に優しいリサイクル製品であり、今後もこのような環境を考慮した製品の開発に取り組んでまいります。


■ 竣工 :2010年  ■ 建物 :3階建て、延べ2000m2  ■ 業務 :設計・解析・信頼性評価などの開発業務  ■ 展示 :ロビーで製品・技術の紹介